おめめから水分 ・目薬

→わたしはいったいどこにいるのか?

何を辞めても、生き続けていかなければならない

いや、自らの手で自身を葬るという選択をする人も中にはいるが

そのようなズルをすると再びこの人生をやり直しさせられるという羽目に陥りそうで

この理由によりわたしがその選択をすることはこれからも無いであろう

 

きっと何の不運にも会わず(それを不運と呼ぶのが果たして正しいのかは置いておいて)

いまここにこうして存在しているのだから

これは私に与えられた生の義務なのであるとして

 

しかしこの欲の無さがわたしを何者にもしないであろうし

人間関係においては何も作らずにこの生を終えること請け合いである

なんの関係も構築せずに、繁殖もせずに

かつて小さな国の小さな村に何も持たず何も残さずに消えていった一つの命がありました

といったような風に静かに朽ちる

 

うすら肌寒くなった夕の空に

自身の消え入り方を様々と思い描き

にたにたとにやつくのが近頃のわたしの楽しい日課

 

非生産的な趣味

 

×××0917

このほとんど一年

わたしは放蕩息子のような生活を送っていた

しょうもない生き方というのはこのようなものです、といった見本のような

放蕩息子的生活が許されている身分では全くないのだが

時おり脳内を浮遊する、そろそろ考えて結論を出し行動すべきと思われる様々な事柄を

ことごとく見ぬふりを続けるというなんとも

私は馬鹿ですと証明するかのような方法によって回避していた

回避というとよろしいが、専ら逃げ回っていた

 

とても興味深いことに、陽気でゆかいな酒も

垂涎の好物なる食物もファンタスティックな恋も

絵の具の引換券を与えてくれる仕事も

魂を叩き起こしてくれそうな音楽も

臀部を揺らし音と一体化したかのような錯覚を飛べるダンスも

先人と天才の経験と教訓の濃縮された書物も

熱くて深い愛のようなものも

わたしの知らない世界を垣間見ることの可能な新しい知識でさえ

どれもわたしを満たさなかった

結局描いてゆくことしかわたしを満たさない

、いうことなどとうの昔に存じ上げていたはずなのだが

懲りずにほかの何かがわたしを満たすのではないかなどとつい欲をかいて

 

それにしても、愛のようなものはもっとわたしを満たすとおもっていた

 

もうすぐ一歳大人になりますので次の歳は革命の一年にいたします

 

 

具体的な決意の完

 

〇〇〇

091417

 

 

あまり桜にはよい思い出がない

 

わたしはわりあい好待遇な状況下の子供時代ではあったが

それとは別の問題として大変に退屈な子供時代でもあった

 

勝手に定められたスケジュール、

(全く起床の意志などないことは無視され、たたき起こされるところから始まる)

すこしも興味の持てない変な体操

(赤と白のへんな帽子に自身の名前の書かれた専用のコスチュームを着用する)

自分と同年代であるという理由で集められただけの基本的に無関係な子供らとの交流

(これをおとなになると縁と表現する)

数字と数字をごちゃごちゃとこすりあわせたり分解したりするつまらないゲーム

(答えが決まっているという最もやる気の起こらないもの)

これらを軍隊並み(イメージでものをいっている)の分刻みでこなし日が暮れ

「ずっと夜のままでいいです」と祈りながら眠りすぐにまた朝

 

その朝の積み重ねの、やっと一年の夜の来たと思ったら

次は新しい一年の朝です、と再びぴかぴかのノルマ帳を手渡されるのが

あのぼやけたうすぴんく色のちっこい花びらがぴろぴろと空中で踊るこの季節

 

おとなになった今は誰も睡眠を妨げず理不尽なことも面白くないものも視界に入れずに済み

そんなことが世界にあったことを忘れていすらしたのであった

 

余談だがその幼少時代の唯一の楽しみがお菓子であったためわたしの肉体は今でも大変豊満であり

食料危機が訪れてもけっこうに持ちこたえそうな逞しさ

(ただし体力とやる気はないので日常においては役には立たない)

 

きっとこの肉のなかはお菓子のあの甘いにおいに満ちていることであろう

 

 

 

 

 

どうだ!

 

 

 

×××

 

 

このアトリエとも今年でお別れである

 

どのアトリエも、それがアトリエである限り、大変に愛おしい

 

どのアトリエも、いい思い出ばかりの恋人との時間のようであった

 

わたしはとうとう下界からの脱出口を見つけた

 

下界は愉しく美味しく幸福であった

 

このままだらしない顔と膨れ上がった肉体を持つ前に

 

宇宙科学の神髄のような上階へゆくのだと

 

妙に燃えている夜

 

 

12/16

 

 

神さまにもうしばらく会っていない

 

わたしが下界にばかり居るからだろうか

 

この日常について違和感をおぼえる

 

わたしはこんなにも日々に安穏と埋もれる者だっただろうか

 

しばらく孤独を感じていない

 

孤独を感じていないというのは致命的である

 

そのような画家がいただろうか?

 

鋼鉄の意思と呼んでいるものはわたしの想像以上に様々なものに振り回される

 

まったく、人間であることなどやめてしまって

 

ただもくもくと絵を作り続ける機械になりたい

 

筆に産まれたかった

 

 

062516

 

 

わたしはちかごろまったく悲しくない

 

ふたりのわたしが始終争いをしているのだが

ここのところ煩悩側の大勝利であるからだ

欲につぐ欲

食べて食べてさくじつの過多な補充も忘れ

今日も食べて食べてその腹を膨らませている

欲の充足はいらぬ麻薬的作用をもたらす

 

まったくにわたしがどこまで貪欲なのかとおもうのだけれど

それが物質的なものに向いていないのが幸いというよりは、

よけいなたちの悪さ

 

あなたの欲しいものはなんですか?

 

020216

 

この世界のスピードはわたしには速すぎる

 

さまざまな物事が花火のように次から次へとあらわれては消えてゆき

味わう間もなく排泄され

数秒前は立派な過去

なにを疑問に思ったのかその疑問ごと忘却するために就寝し毎日

各々がその膨大な時間と情熱と資金を一滴の思い出にするという作業を

飽きることすら諦めくりかえし

その繰り返しを効率化することに専ら従事

今なにがしたいかとおもえばいつも

土の中でねむることなのだがそれを保留にし

みどりいろの顔と憔悴を鏡に映し

自身への礼儀として片ほほを持ちあげ

仕上げに娯楽とよばれるものから更に余分な疲労を買い

それによってショートケーキにまるまると太った苺をのせるように己の生に装飾を施し

すこしの満足

 

まったくに、しかしなにがしたいかとおもえばやはり

土のなかで眠ることなのですがそれはまた今度

、と今日も枕のうえでつかの間の逃避

 

 

×

××

 


生活から大きな幸福感や充実感を得られた人たちが、

絵を描かなくなるのがなんとなく想像できるようになった

 

あの暗くて、じめじめした妙な行為と

時おり与えられる高揚感など

もうどうでもよくなってしまうのだろう

 

自分の居る場所を見つけられた人たち

 

自身の存在のこころもとなさから解放された人たち

 

絶好調の恋の渦中にさえきちんと孤独になれるのだとしたら

そのひとはりっぱに芸術家である

 

しかしこんなに哀しいひとがあるでしょうか

 

恋人さえ、その家族さえも埋められないへんな穴を持ってしまった人たち

 

、とここまで書いて

そもそもそんな穴を埋める必要などすこしもないように思った

 

穴など、ぼこぼこと

なんならば気前よく開けといてやろう

 

そこからわたしのどろどろとした内臓が見えてしまっていても

ひゅうひゅうと風の音をさせて

ルンルンタラランと鼻唄うたいを装って散歩へでましょう

 

などともはや何についての思いをはせていたのかすらも不明になったところで

今日はおしまい。

 

 

20915×

 

 

 

自分の死なんかより、愛する人たちの死のほうが怖い

 

あなたの居ない世界はどんなにまっくらなことでしょう

などと云いながら

しばらくすればまた

あなたを小さな思い出の箱にしまって

生きてゆくのだろう自分もなんだかいやだな

 

 

110615

 

×


あなたのいう優しさとは、あくまで自分へ向かった優しさなのですが

案外わたしもあなたも気が付いていなくて

だから話のこんがらがる、と

 

ひとの相性はその人間の成熟度とまったくに関係のないところが不思議なこのごろ

どのような評価も、そのひとの一角でしかないのだけれども

すぐに過信し自惚れる

あなたもわたしも・・あっ

わたくしは残念ながらなんの功績もこの手にしていないのでした

そのくせ時折自信満々にあなたになにかを語ったりしてなんと

その根拠すらないという

もうあたまの上のうえまで恥でぱんぱんですので

穴にでも入りたいとはまさにこのこと

 

などというつまらぬ嘘でおなかがいっぱいです

 

 

 ×≫×

 

 

約束というものはあってないようなものだ

現時点での意志であるというだけ

 

安易に約束をしない人間のほうがなぜか

それを遂行する

 

ひとの言葉を丸呑みにしなくなり

自身の言葉に慎重になった

 

行動にぜんぶ表れる

わたしも/あなたも

 

 

×××

170115

 

 

炭酸のぬけきらないうちに

それをぜんぶのみほしたら

置いてゆかれた空気のあわあわがコップの底に残っていて

でも行き場をうしなって

あわてて消えていったのが見えた

 

いっしょに、わたしの中へはいればよかったのに

 

○○○

 

 

このまんまでも困るのだけれど、ほんとうはずっとこのまんまがいい

 

人生の蜜月

とでもいうような日々

わたしはいまのところ、ぐうたらを許されています

 

、というわけでとくにどこかへ行かなくてはならないときのほか

すなわち7日のうち半分ほど

誰かと口をきかずじぶんの顔もみずただただ個人的な探求あるいは愉しみにふける

 

さっさと狂ってしまいたいのですが、

増々に周りの御手を煩わせることとなるだけでしょう


いえ、御手はいまでも充分に煩わせているのですが

 

 

それなのに ちっとも、るんるんなんかじゃないとき

 

 

50914

☆☆☆

 

また

似たような絵をだらだらと描きつづける

 

、と

ひとりゆっくりと死に向かってゆくひと

昨年よりも半分くらいになって、

彼女は着々とおわりに近づいていた

ひとはみな老いるのだ

産まれてきて、しんでゆく

 

目があわなかった

でも見えている

 

かなしいことではない、と

日常のなか、肌になれた者のそれでなければ頭ではそう考えることができる

 

おそらく

 

 

×2oΙ4

 

たとえば、お肉がたべたいと思ったときに

「きのう食べたでしょう」と

言われたとして実際にきのう食していたとしても

「そうでした、そうでした

    ではきょうはお肉を食さずともよいことにいたしましょう」

とは納得できない

経験の所有と現在の欲は別物である

いくぶんかの時間をつぶし/あるいは遂行されたときの副産物としての記憶であり

記憶は過去でしかなく、残念ながら過去を食べながらは生きられない

 

でもついこの間は、あまりに素敵な過去だったので

わたしは当分それを食べながら生きる

 

ささやかなことであっても

何度も脳で反芻して楽しめるような記憶であたまをぱんぱんにできたら

それこそあらゆる意味での幸福

 

でもそれが過去であるというのがやっぱりすこしさみしい

 

 

 

×××          

 

 

ねんねん

わざわざ人に会いにゆく回数が減る

たいへんな情熱のいる逢瀬

 

まず眠気に勝てない(わたしはねむりたい)

物臭なきもちに勝てない(からだの装飾という手間のかかる作業)

ふゆはさらに寒さに勝てない(寒太郎め!)

 

そのうちわたしの周りにはだれも居なくなってしまうのでは

なかろうかというささやかな不安

 

、と

これにたいする対策として脳味噌のなかに

親しい友人のような/肌のなれた恋人のようなあなたを

いまねんどで、つくっているところです

 

 

まだ、オマメみたいなかたちをして居る

 

わたしのなかに居る

 

 

のち何年か寝具のなかで

これの制作に勤しみつつねむりにつきたい

やがて完成することでしょう

 

 

☆☆

 

 

 

作品なるものを制作

しているのか

うつくしい真白のキャンバスをえのぐでただ

ただ汚しているのか

しょうじきなところわたしにはよくわからない

 

 

やるきをだすために次の展示のタイトルをかんがえた

→わたしをめぐる逡巡、ちいさな絵描きの肖像

 

英訳までしてみた

(和英辞典をひいただけ)

 

まだ絵なぞひとおつも出来ちゃいないが

この未知なる展覧会をおもってにやにやし

うっとり腰をふって一曲踊ったのち鼻息あらく描いてみた

 

 

開催はいつになることやら

 

 

×××20130601

 

 

すべてが過程でしかない

 

からだはぶくぶく肥えはじめ

あたまかりかり痩せおとろう

 

適度というのはわたしにはむつかしい

 

しかし美しいものはもみな適度

 

バランスを保とうとすることを放棄してみようと

おもうのですが

それはまわりに醜態をさらすことをも伴い

これを怖れてるのではなくて

それによって失うことを怖れている

 

わたしはなにも持っていないといいながら一体

なにを失うことを怖れているのか

 

 

おとなにもなれず狂人にもなれない絵かきはどうなったらいいんでしょうか?

 

 

 

×××

 

 

年中酩酊しているか年中素面かのどちらかを選択すればよろしい

 

酩酊(自身のきたない内臓を掘り出す)ほんしつをついきゅう

素面(鏡にうつったものを自身と定義)ばらんすかんかくをついきゅう

 

ほんしつをついきゅう

を選択する必要がどこにあるのかがよくわからなくなってきた

 

でも必要性の有無によって行動は選択されるわけではないのである

 

かくじつにわかるのは

わたしがわたしのいち・人間としての満足をもとめるのなら

ほんしつ なんて追ってはならない

 

ああ 神様と飲みたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その年の暮れにはめずらしく日々を労働に充てていて

(ただし正確にいえばわたしのそれは労働と呼べるほど高尚なものではない

手段でしかなく時間を売っているだけで、だれのためでもないから)

おかげでわたしは何日かろくに描けなくて

それなのにわたしがこうして生きていられるということに失望する、

描くことからすこしでも離れたら呼吸がとまるような構造にすくなくとも

身体的にはできていないということに

 

そうして得られる金銭にもはやかつてほどの喜び・興奮も感じないのだが

このような自身の感慨とは別に

おかねで交換できるもののなんて多い世のなかなのでしょう

、とこれが可能にすることのために

いくにちか描かずとも息絶えぬ丈夫な体をもちわたしはときに働きにゆく

 

社会との平衡感覚を捨てきれぬわたしを恨みながら

しかしそれによっていまこの環境を生きられていられることを重々に認めながら

 

 

 

×××

 

2013

 

 

 

わたしの人間としての人生にとって最大の不幸はわたしが絵描きであることだが

わたしの絵描きとしての人生にとって最大の救いはわたしが絵描きであるということ

である

 

わたしが絵描きであること=わたしにとって唯一最も普遍的で永続的かつ中正な事実

 

 

ただひとつ

わたしのひとりの人間としての充足あるいは幸福と並行することはほぼ不可能であると

わたしは知っている または思い込んでいる

思い込んでいるあいだは少なくともわたしにとってはただしいことであって

すなわちこれも事実なのです

 

 

あなたにほとんど求めずに

しかし与えて生きてゆきたい

 

 

 

 

 

 

 

このよで最もぜいたくな買いものは夢だとかんがえるのですがそのゆめというのをだれだか売ってくれませんかできるだけ刺激的でドラマティックででも腹八分でいえやはりやや過剰で生の歓びに満ちあふるる1秒後に死をおもうというようなしちゃかめちゃかなすじがきのものがよいのですけれどええおかね金銭あるいはそのようなものはあいにく所持しておりませんのでええとわたしはではわたしはあなたの望むときにあなたののぞむものを提供しましょう甘えずしゃべらず求めず待たずあなたになにかを与えつづけますあれでもなにかあれなにやらわたしの言っていることがなんだか矛盾しているような気もするのですがそうでもないでしょうか

 

 

☆@☆

 

 

わたくしのために存在していてくれるだれか

=あるいはわたしの半身

=あるいはわたしの王子様

 

こそ存在し得る筈がないという事実を

わたしたちのほとんどは脳みそでしか理解できていない

 

いわゆる不幸のはじまり

×悲劇の幕開け

÷くだらぬ日常の第一歩

 

パンパカパーン!

 

 

 

 

 

正直に在るのには

自信と勇気がひつようですが

この自信と云うもの=グラグラグラ

勇気と云うもの=神出鬼没

 

 

 

ちかごろのなやみ

→幻覚出血精神的退行

 

=ひとりであるくことができない

 

 

 

ちかごろののぞみ

→変身分裂離脱空空寂寂

 

=(       A       )

 

 

問 (A)に当てはまるものを選択せよ

 

 

選択肢は、また次回

 

 

 

☆☆☆

 

<わたしの性質にたいしての考察>

 

 

わたくしはたいへん几帳面である
とても細かい性質をもつ と自負している
けっぺき というのはまさにわたしのことである

たとえば

わたしはアトリエではコロコロローラーをつねに、傍らにおくのである
1本でもかみのけ落つるを確認すれば
これをローラーにて除去するのである

そうして、キャプションによく使われるスチレンボード

これのナナメになったり 

ぎざぎざになっている切り口などはゆるせないのである
そのようなキャプションをつける絵描きなどはわたしは好かないのである

 


また、わたしはわたしの肌のうえの、あらゆる剥離の可能な皮膚をみとめない
いわゆるかさぶた等である
わたしは発見しだいこれをはがし、ごみばこへポイとほおる

 


ただひとつ不可解なのは、
わたしがたいへんに几帳面で細やかけっぺきである

という主張をするとひとはこれを聞いてまず小鼻をぴくっとさせ

目を泳がし両ほほをうえに上げるのである

(唇から、ハハッなどという音を発するものもいる)
このような顔つきは、わたしの知識によると
失笑とよばれる類いのものである

 

 


わたしはこれによってまたひとつの発見をした

  

「自身による自己見解と、他人によるそれは、しばしば異なる」

 

 

 

☆☆☆

 
<わたしの日常についての考察>

わたしは大変多忙なのである
 
まったく、時間に追われているとはまさにわたしのことである
いそがしい国ニッポン
1日が24時間というのはたいへんな不足である
或いは
自分の分身があったらなあ
というのはだれかしら日々おもうことがあると聞くが
その例にもれず/わたしも毎日おもうのだ

なぜこんなにいそがしいのか!
なににそんなにいそがしいのかを
わたしは考察する

まず、わたくしは、おおよそ12時間を睡眠に使う
わたしの顔がテラテラと輝いているのは、これのせいである
これでいちにちは半分になる

そうして3時間は、呆と世界を感じる時間である
わたしは無になる
ああ、本日も世界は、うつくしい
きょうはとくに、このにおいが美しい。などなど

もう3時間は、脳の時間である
わたしは脳になる
この時間、わたしのあたまは自身ですら追いつくのが困難なほど高速で回転する
あたらしい知識の吸収なども この時間に行われる ぐるぐるぐる

つぎの3時間は、わたしの生命活動の時間である
わたしは一匹の生命体になる
 食料の摂取、この肉体と衣料の洗浄、あるいはその装飾、もろもろ
酒に酩酊するなどの用事もこの時間に含まれる
 
そうして最後の3時間、ようやくわたしは絵描きになる
ちまちまぺたべた/本日も絶好調
ちなみに、自分の分身の存在をせつに願うのはこの時間である
わたしは耳に、音を注入しながらえがくので
そうするとわたしの身体はたこ踊りをはじめるのである
踊りながらかくというのは、たいへんむつかしい また、非効率的である
しかしわたしはこれを同時に行うのを理想とするのである
わたしその②がいれば彼女に踊らせて
わたしが描くこともできるし、その逆もしかり 可能である

のこりの3時間‥
おっと、もう24時間を越えてしまう  ほうら足りない
いやしかしあとの3時間
これは対話の時間である
わたしはあるときは自分自身と、またあるときは他のだれかと、対話する
ふむふむなるほどふうむふむ、興味深い!などなど
この他のだれかというのは、なにも他のだれかと対面するわけではない
その機に応じて選出された、バーチャルバージョンである
バーチャルママ、バーチャルパパ、バーチャルPちゃん、バーチャルQ氏等々
登場頻度には各々ばらつきと偏りがみられる
ところでわたしはPに話したのか、バーチャルPに話したのかをしばしば混同する
まったく、バーチャルPから伝達されていればよいものを、
仕方がないのでバーチャルPに話した内容を再度Pに話したりするのである
所謂二度手間である

そうして或いは3時間
わたしは社会的な労働を行う
その労働の最中、わたしはいかに隙をぬって瞑想を行うか
ということだけを真剣に考えている
このような働きぶりなのでまったくもってなんの
役にもたっていない場合がほとんどなのだが
あたかも誰かの役に立っているかのような奇妙な満足感とすこしの金銭を
わたしは労働から貰う どうも有難い

 

 


わたしはたった今、この文章をタイプしていてひとつの発見をした

「わたしの日常は、おおよそ3の倍数である」

また、ひとつのうちなる欲求を認識した
「わたしは、音楽になりたい」

注意書をも、思いついた
「わたしは虚言癖的性質をまったく持ちあわせていないとはいい難い」
 

 

 

 

 

 

 

彼らはわたしに優しく

わたしに住む場所とあらゆる食べものと満足な量のお酒と安心と安全と愛を与えてくれる

のですがしかしわたしは彼らのなにを知っているのでしょう?

 

 

わたしはぐうたらで

誘惑にはよわく

アルコールを摂取することばかり考え

まわりの性質の良いひとびとに甘えるなかれ

などと耳のいたくなるべき叱責をうけてもかゆくもならない丈夫な耳をあたまの両側につけ

孤独とたたかうことをあきらめこれと友人顔をしながらもいまだささやかな期待を持ち

愛し愛されたくそう望むくせにひとをこわがり興味をもてず

この世界を色めがねをかけずに見て感じたいと願い

そのめがねを放棄しようと試みなかば成功したつもりでいるのですが

残念ながらわたしの目にはまだ曇ったコンタクトレンズがへばりついていて

わたしはそれを自覚できてもこれをまだ瞳にぺたりと

装着しながらあるいているのです、

 

 

いろめがね

放ったつもりで

天あおぐ

なおまだぼやける

おそざき桜

 

 

 

ああ、馬鹿馬鹿しい

 

 

 

☆☆☆

 

 

  

きらきらしていて暖かく

 

にんにくとオリーブオイルのかおり漂うレストランにゆきたい

 

ワイングラスの音ひびくレストラン

おしゃべりのあいま、テノールのうたごえ

 

  

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

わたしは世界で 世界はわたしだと思っていた 

 

 

〈彼女について私が知っている2,3の事柄〉 ゴダール 1967 フランス

 

 

それが真実でないと認識した瞬間からそれは真実ではなくなるのでした

 

しかし信じてさえいれば それはいつまでも真実なのでした

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

近ごろ 現実とゆめの境界線があいまいになってきました

わたし ほんとうにあなたにあいましたっけ?
ゆめでしたっけ
なにをはなしましたか
おぼえてますか
ああ やっぱりゆめか

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

内向的なこどもでした

ほかのひとというのは よく分からないから

あまり近よらないようにしていました

でも どこかにたったひとりだけ

わたしの半身のようなひとがいると信じていました

それいがいの人間というのは

いるのかいないのか

判別がむつかしいほどの距離を隔ててでしか接することができない と

 

 

どうやってうまく母の目をぬすんで

よりおおくのお菓子を失敬するかということだけ

かんがえていました

 

 

死というものがいったいどんな状態なのかイメージするのがすきで

永遠の輪廻をかたく信じていました

わたしはたったいま わたしが轢死させた蟻にもうまれかわる

そうして蟻Aとして生きさいごわたしというホモサピエンス・雌Aに踏みつぶされる

 

どの本にも死後の世界の確たる事実は書かれていなくて

それぞれ定義したり 想像されたりはしているけれど

 

宇宙とおなしくらいに 未知

 

 

 

 

すくなくとも自分の死はかなしいことではない

というのはいい事実だ とおもいました

ずうといろいろ 想像していたことであたっていることがあるかそれとも

まったく異なる世界なのか

それを確認

検証しにでる冒険

 

冒険にはリュックをせおってゆかないとね

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

きのうからあんまりお水もとっていないようなふうでも

平和な音をたててじょろじょろと

おしっこがでたりして一体

この水気はなんなのでしょうか

わたしのなかのみずなのでしょうか、まだおもくて艶やかなかみの毛とか

すこやかな内臓とかからすこしづつ抽出された水なのでしょうか

 

など等々おもいながらその白い陶器にたまった水分をながめる

 

 

なんていうことがおそらく生きているということなのであるのだと分かったような

わからんようなことを月曜日のまっぴるま

とくべつおやすみというわけでもなく

年中休日のようなもので

こうしてあたまをぐちゃぐちゃとかき回す分解試行錯誤

 

そんな作業さえもわたしのおしごとだとおもっている。

のですがこんなふうなので絵かきなんてのは所詮びんぼう

いやそれはわたくしみたいなのだけでしょうか、

なにか社会に有益な働きをしたまえレジうちとか などなどじぶんへ

 

しかし貧乏はけっこう

清貧とかも遠慮しておきます、

 

でもだってわたしにはやさしいぱぱとままとあまりかしこくはないネコまでいるので

びんぼーではないのです、おいしいたまごも

おさけも

おにくだってすなわち栄養とり放題なわけであります

 

ぷくぷくと肥満体常時可能

 

 

わたしはお鮨とケーキとワインのつまった脳で

あなたとあなたとの関係性とあなたとの未来とそしてこの世界のことをかんがえます

 

 

わたしのあたまのなかでつくったあなたではなくて現実のあなたと

その関係性においてどうにもならないであろうその未来と

そしてこの広大で美しい すばらしい世界のことを

うっとりと